屑男のエロスクラップ

＜評価＞　内容：☆☆☆★★　　作画：☆☆☆☆★　　抜き：☆☆☆★★

終戦直後の退廃的な雰囲気はかなり美しく描かれていたものの
耽美なイメージに捉われすぎて、いまいちエロシーンが盛り上がらない


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＜スタッフ＞

レーベル：Platinum Milky
原作：Innocent Grey
プロデューサー：濱崎大悟
アニメーションプロデューサー：晴倉仁
脚本：関町台風
キャラクターデザイン／総作画監督：石原恵
作画監督：丸英雄
監督／絵コンテ／演出：美住蘭
アニメーション制作：フレーバーズ・ソフト
製作／発売／販売：株式会社ミルキーズピクチャーズ



＜あらすじ＞

繰り返される惨劇の輪廻

敗戦から十年が過ぎ、在りし日の姿を取り戻しつつある街、東京。
その東京で奇妙な事件が多発していた。私立櫻羽女学院の学生が何人も行方不明となる事件だった。
私立探偵の時坂玲人は、昔馴染みで元同僚である魚住夾三に事件の調査を依頼される。

ある日玲人は、朽木冬子と名乗る学生から変わった依頼を受ける…
「捜して欲しいんだ…私を…本当の、ね」
そんな中、また櫻羽女学院の学生が行方不明となる。玲人は事件を解決するべく調査に乗り込むのだが…



＜感想＞

敗戦直後の東京を舞台に起こる猟奇連続殺人事件を背景に
ある青年探偵と彼を取り巻く女性たちを耽美に描いた作品――

――同じような舞台・背景を題材にした作品が最近あったような……そう
半年前にアニメ化された「カルタグラ」！　
原作ゲームの制作会社が同じInnocent Greytということもありますし、
終戦直後という時代設定や猟奇殺人を題材にしている等、共通点が多い所からすると
一応同じ世界の物語なんですかね。
原作ゲームの公式サイトを覗いてもそういう記述は特に見当たりませんが。

目も当てられないほどの出来だった「カルタグラ」ですが
同じMilkyブランドがあえて同じような雰囲気の作品を今回新たにアニメ化したということは
ある意味、「カルタグラ」の失敗を踏まえてのリベンジ的な作品なのかもしれません。
さて、その結果は？


■ キャラ立ちや、雰囲気作りはかなり良い

キャラはかなり立っています。
若さあふれる女学生たちの描写も良かったのですが、
特に、セックス要員の大人の女性二人。
喫茶店のマスター杏子の、胸の谷間や瞳の反射がさりげなく強調された姿は、
薄暗い店内の雰囲気も相まって、未亡人特有のしっとりとした女の色香がプンプン。
そして眼帯の監察女医夏目の、メリハリの効いた成熟した女体や、
あけすけに男を誘うその仕草もかなり艶っぽく、魅力たっぷりです。

また、終戦直後のちょっと退廃的な雰囲気も存分に描かれていました。
ライティングのぼかしを多用したしっとりとした背景群、
感情を抑えた繊細な表情作画、ミステリアスな登場人物たち、
思わせぶりな台詞、情感のこもった口調、終始静かに流れるピアノBGM等々、
耽美で妖しい世界感にぴったりでした。



■ 雰囲気を重視しすぎたか、美しいがやや単調なエロシーン

で、肝心のエロシーン。
服が一枚一枚脱がされていく様子や、身体全体をゆっくり愛撫する前戯、
抑え目な色調など、こちらもやはり雰囲気があって、悪くありません。
個人的には、前戯を丁寧に描写することによって
淫靡な雰囲気を盛り上げる演出はかなり好み……のはずなのですが……。

この作品、エロ要員は前述の通り二人。
一人は幼馴染で未亡人、年相応の落ち着いた大人の魅力を持つ杏子。
もう一人は、天真爛漫、性に対して開放的な、眼帯付き監察女医夏目。
この二人のセックスシーン、どちらも同じような雰囲気のセックスなんですよね。
フェラかパイズリか程度の違い。
夏目との診察台セックスシーンは、
彼女の一風変わったあけすけな性格を考えれば、
もう少し激しいセックスプレイにして、
杏子のセックスとは多少視点を変えて欲しかった。

また、淡々としたピアノ曲をバックにねっとりと責めあげられ、
女体が官能的にくねる様は、確かに綺麗な情景で嫌いではなかったものの、
同じようなテンポ、同じようなムードで延々と続くだけでもう一歩盛り上がらない。
起伏がないというか、単調というか……。

セックスシーンをひたすら美しく描き切った、同様の作品として
「少女セクト」がありますが、こちらはあくまでレズシーンが主体であり
また、少女たちの微妙な関係性と密接に絡んだシーンでもあったため、
エロシーンの「美しさ」自体にきちんと意味のある作品でした。
しかし、「殻ノ少女」で描かれているセックスは男女間での行為であり、
かつストーリーとエロシーンが直接絡んでいるわけではありません。
セックスシーンを過剰に盛り上げたところで
作品の雰囲気をぶち壊すようなことはないのだから、
もっと起伏を付けても良かったような……。


流石に「カルタグラ」よりは出来が良く、
終戦直後の退廃的な雰囲気や耽美なエロシーンはかなり美しく描かれていたものの
その妖しいイメージに捉われすぎていまいち盛り上がらない――そんな作品でした。



■ 他に気になった点

・エロシーンとストーリーが今後、きちんと絡んでくるんだろうか。
　「カルタグラ」みたいにあくまでエロシーンは添え物なのか？

・ミステリアスな少女、冬子。妙に棒読み口調で違和感あり。下手なのか？味なのか？

・ロングとアップでかなり作画の質が違う。うまく手を抜いているなという印象。

・今時珍しく陰毛がちゃんと描かれていて好感。
やっぱり大人の女性を描くなら、そこら辺ちゃんと描かないとね。

・監察女医夏目のキャラデザイン、流石に悪目立ちしすぎなような。
　悪の女海賊みたいだぞ、あの眼帯。今後、重要な意味を持ってくるとかか？





＜気に入ったカット＞（クリックで拡大・コメント付き）

・幼馴染で未亡人、年相応の落ち着いた大人の魅力を持つ杏子


・天真爛漫、性に対して開放的な、眼帯付き監察女医夏目



・オマケ